法人パソコンの処分|PCリサイクルマークの落とし穴
2026/7/28
倉庫に積まれたパソコンを前に、「これ、捨てるだけなのに何でこんなに手間がかかるんですか」と聞かれることがあります。もっともな疑問です。家庭で使っていたパソコンなら、マークが貼ってあれば無償で引き取ってもらえます。ところが同じ機種でも、会社から出すと話が変わります。手続きも費用も、家庭とはまったく別の制度で動いているからです。何がどう違うのかを、順番に見ていきます。
法人パソコンの廃棄に関わる3つのルール
事業所から出るパソコンには、性質の違う3つの制度が同時にかかります。
メーカーによる回収の仕組み
1つめが資源有効利用促進法にもとづくメーカー回収です。パソコンの製造事業者と輸入販売事業者には、使用済みパソコンを自主回収して再資源化する責任が課されています。事業系パソコンについては2001年4月から始まりました。
窓口はメーカー各社と、一般社団法人パソコン3R推進協会です。同協会の案内では、申し込み、データ削除、梱包、認定業者への搬入、証明書発行、報告書作成という6段階の流れになります。梱包は排出する側が行う前提です。
排出事業者としての責任
2つめが廃棄物処理法です。事業活動に伴って生じた廃棄物は、事業者が自らの責任で適正に処理しなければなりません。処理を他社に委託しても、この責任は移りません。
委託する場合は、許可を持つ業者との書面契約に加えて、産業廃棄物管理票(マニフェスト)の交付が必要です。運搬と処分が終わったことを確認し、票を5年間保存する義務も残ります。「引き取ってもらった」時点で完了とはならない点が、家庭の感覚といちばん違うところでしょう。
PCリサイクルマークがあっても無償にならない
3つめは、制度というより線引きの話です。パソコン3R推進協会は、事業所で使用のパソコンについて、PCリサイクルマークの有無にかかわらず有償として取り扱うと明示しています。
マークは、家庭向けに販売された機体の購入代金に、家庭から排出する際の費用が含まれていることを示すものです。判断されるのはシールの有無ではなく、誰がどの用途で使い、どこから出したかになります。家庭向けモデルを会社で購入して使っていた場合も、会社から出す段階では事業系です。
費用と事務工数はどこで発生するか
見積書を見るまで実感が湧きにくい部分を、具体的な数字で押さえておきます。
回収再資源化料金の実際
パソコン3R推進協会が公開している見積書のサンプルでは、30kg以下のノートパソコン1台の回収再資源化料金が3,000円(税抜)、受付手数料が1,500円(税抜)、合計4,500円(税抜)、税込4,950円と示されています。見積りの有効期限は発行日から3か月です。
同じサンプルでは、2台目以降が0円と記載されています。台数が増えるほど1台あたりは下がる構造です。ただし30kgを超える機器やチャーター便の手配、指定書式での書類作成が入ると追加料金が発生します。
マニフェストの交付と年次報告
費用より担当者を消耗させるのが、こちらの事務です。紙のマニフェストを交付した場合、事業場ごとに前年度の交付状況をまとめ、毎年6月30日までに都道府県知事等へ報告する必要があります。
電子マニフェストを利用していれば、登録分は運用組織が行政へ報告するため、排出する側が個別に報告する必要はありません。紙と電子を併用している場合は、紙の分だけを報告します。数台の処分でも、この一連の手続きは同じように発生します。
違反したときに何が起きるか
罰則は軽くありません。許可のない業者へ収集運搬や処分を委託した場合、5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金、またはその併科と定められています。法人に対しては3億円以下の罰金が科される規定もあります。
マニフェストを交付しない、必要事項を記載しない、虚偽の記載をするといった違反には、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が定められています。「知らなかった」で済む領域ではありません。
廃棄する前に確認したい3つのこと
処分を決める前に、この3点だけは押さえてください。
委託先の許可と認定の範囲
業者から許可証の写しを受け取るだけでなく、自治体が公開している名簿と照合してください。確認するのは、法人名、許可番号、有効期限、業の区分、そして扱える品目です。パソコンは廃プラスチック類、金属くず、ガラスくず等の混合物として扱われます。
排出場所を管轄する都道府県と、運搬先を管轄する都道府県の双方に許可があるかも確認が必要です。メーカーや協会の広域認定を使う場合は事情が変わり、パソコン3R推進協会は認定番号第153号の産業廃棄物広域認定を受けています。この範囲内であれば、マニフェストの発行と管理が不要になります。
データ消去は誰の責任か
見落とされやすい点です。パソコン3R推進協会の見積書サンプルにも、使用済みパソコンに残存するデータの消去は排出者の責任であると明記されています。回収を依頼したからといって、消去まで含まれるとは限りません。
初期化しただけでは復元される場合があります。個人情報保護委員会は、機器を廃棄する際に復元不可能な手段で消去するよう求めており、外部に委託した場合も委託元の監督責任は残ります。アスクライトのデータ消去サービスでは、専門技術者が作業したうえで対象機器を特定した証明書を発行しています。
有価物として売れる機体を先に分ける
最後にこれです。再使用できる状態で有価物として売却する場合、その機体は廃棄物にあたりません。マニフェストの交付も、回収料金の支払いも発生しないことになります。
株式会社MM総研の調査では、2025年度の法人向けパソコン出荷台数は1,349万1,000台、前年度比33.6%増でした。入れ替えが集中したということは、まだ動く機体が大量に処分側へ回っている可能性があるということでもあります。処分を決める前に、査定だけ受けてみる価値はあるでしょう。買取と廃棄の判断材料も参考にしてください。
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まとめ:廃棄の前に、分ける工程を1つ挟む
法人パソコンの廃棄には、費用と事務と法的責任の3つがついてきます。1台あたり数千円の料金だけでなく、マニフェストの交付と保存、年次報告、委託先の確認まで含めた総量で考える必要があります。
だからこそ、処分に回す前の仕分けが効いてきます。動く機体を売却に回せば、その分の費用と手続きがまるごと消えます。残った機体だけを適正なルートで処理すれば、責任も果たせます。
順番を逆にしないことです。「全部処分」と決めてから業者を探すのではなく、まず何台が売れるのかを確かめる。そのひと手間で、支出が収入に変わる部分が出てきます。
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よくある質問
Q1. 法人パソコンをPCリサイクルマークで無償処分できますか?
できません。パソコン3R推進協会は、事業所で使用したパソコンについてマークの有無にかかわらず有償と示しています。マークは家庭から排出する場合の仕組みです。
Q2. 廃棄費用は1台あたりいくらかかりますか?
同協会の見積書サンプルでは、30kg以下のノートパソコン1台で回収再資源化料金3,000円、受付手数料1,500円、合計4,500円(税抜)が示されています。重量や搬出条件で変わります。
Q3. マニフェストは必ず必要ですか?
産業廃棄物として処理を委託する場合は必要です。メーカーや協会の広域認定を利用する場合と、有価物として売却する場合は交付が不要になります。
Q4. データ消去は業者がやってくれますか?
契約内容によります。回収サービスの中には消去が含まれず、排出者の責任とされているものもあります。依頼前に、どの水準まで誰が行うのかを確認してください。
Q5. 1台だけの処分でも受け付けてもらえますか?
可能です。アスクライトは1台からのご依頼を歓迎しています。買取対象と処分対象が混在していてもまとめてお引き受けします。
Q6. 関東以外の地域でも対応していますか?
対応しています。関東1都6県は出張査定に伺い、それ以外の地域は宅配便での無料集荷をご利用いただけます。保管場所までお伺いするため、社内で運搬を手配する必要はありません。
Q7. 壊れて動かないパソコンでも買取の対象になりますか?
なる場合があります。部品取りとしての価値が残るためです。まず査定を受けて、値がつかなかった分だけを処分に回すほうが総額は抑えられます。
Q8. 資産台帳から落とす書類はもらえますか?
売却の場合は売買契約と明細をお渡しします。処分の場合も、対象機器を特定した書類をご用意しますので、資産の除却手続きにご利用いただけます。
参考文献
1. タイトル:PC3R:パソコン3R推進協会 - PCリサイクルマークについて
出典元:一般社団法人パソコン3R推進協会
URL:https://www.pc3r.jp/office/pcrecycle_mark.html
2. タイトル:事業所用PC3R
出典元:一般社団法人パソコン3R推進協会
URL:https://www.pc3r.jp/office/
3. タイトル:御見積書(事業系パソコンリサイクル)
出典元:一般社団法人パソコン3R推進協会
URL:https://www.pc3r.jp/office/pdf/%E8%A6%8B%E7%A9%8D%E6%9B%B8%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%83%97%E3%83%AB.pdf
4. タイトル:リサイクル処理業者の産業廃棄物広域認定について
出典元:一般社団法人パソコン3R推進協会
URL:https://www.pc3r.jp/office/industrial_waste.html
5. タイトル:排出事業者責任|電子マニフェストとは
出典元:公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター
URL:https://www.jwnet.or.jp/jwnet/about/system/responsibility/
6. タイトル:マニフェスト交付等状況報告書
出典元:公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター
URL:https://www.jwnet.or.jp/jwnet/about/system/report/
7. タイトル:廃棄物処理法における罰則一覧表(令和7年6月1日施行後)
出典元:群馬県
URL:https://www.pref.gunma.jp/site/sanpai/131504.html
8. タイトル:データの消去に関する注意喚起
出典元:個人情報保護委員会
URL:https://www.ppc.go.jp/news/careful_information/data_syokyo/
9. タイトル:2025年度は過去最大、2026年度は一転大幅減に
出典元:株式会社MM総研
URL:https://www.m2ri.jp/release/detail.html?id=717
監修者
幸代表(鄭 航)
株式会社アスクライト 代表取締役。
PC・OA機器のリユース・買取業界で10年以上の実務経験を持ち、2022年に株式会社アスクライトを設立。関東を中心に法人・個人向けのパソコン買取事業を展開しています。専門技術者による確実なデータ消去と、市場動向分析による高価買取を強みとしています。
- 所在地:〒352-0011 埼玉県新座市野火止2-12-8
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