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法人パソコンのリプレイス計画|時期・予算・手順の決め方

2026/10/8

法人パソコンのリプレイス計画|時期・予算・手順の決め方

去年の秋、Windows 10のサポート終了に間に合わず、延長更新プログラム(ESU)を買って1年の時間を確保した会社は少なくありません。その1年が、2026年10月13日で切れます。2年目は1台122ドルで、1年目の分も遡って請求される仕組みです。ここで「全台を一斉に入れ替える」と決めてしまう前に、確かめたいことがあります。本当に全台が同じ期限を抱えているのか、という点です。台帳を開くと、たいてい答えは違います。

リプレイスの時期を決める3つの物差し

「4年で替える」という目安は広く知られています。ただ、その4年がどこから来た数字かを説明できる担当者は多くないでしょう。時期を決める物差しは3つあり、それぞれ指しているものが違います。

物差し1:OSの期限は、毎年倍額で追いかけてくる

Microsoftの案内によると、法人向けESUは1年目が1台61ドル、2年目は122ドル、3年目は244ドルと毎年倍になります。しかも年単位でしか買えず、2年目から入る場合は1年目の分もあわせて支払う累積方式です。3年使い切ると1台あたり427ドルに達します。

つまり延長は「猶予」ではなく「利息付きの先送り」に近い性格を持つものです。期限は2026年10月13日、2027年10月12日、2028年10月10日の3段階と公表されています。この日付を台帳の各行に書き込むところから、計画は始まります。

物差し2:Windows 11の要件で、機体は2群に分かれる

Windows 11の最小要件は、TPM 2.0、UEFIとセキュアブート、対応リストに載ったCPU、4GBのメモリ、64GBのストレージです。この要件を満たす機体は、OSを上げれば使い続けられます。満たさない機体は、どれだけ快調に動いていても期限が固定されてしまうのです。

ここで台帳が2群に分かれます。「上げられる群」と「替えるしかない群」です。リプレイスの対象台数は、全台ではなく後者の台数で数えるのが出発点になるでしょう。

物差し3:会計の4年と、市場での残存価値

国税庁の耐用年数表では、パソコンは4年、サーバー用の電子計算機は5年です。ただしこれは償却の区切りであって、動作の限界とは別の数字といえます。償却が終わった機体を使い続けても、税務上の問題はありません。

一方で、中古市場の値段は償却表とは無関係に動きます。MM総研の調査では、2025年度の法人向けパソコン出荷は前年比33.6%増の1,349万台に達し、2026年度は40.2%減と予測されています。多くの会社が先に動いた分、これから出てくる非対応機の中古供給は増え、値は下がりやすい局面です。「まだ動くから待つ」が、いちばん高くつく選択になることがあります。判断の軸は買い替え時期の決め方で詳しく扱っています。

リプレイスの予算は「出口」を入れて組む

見積書には、新しい機体の金額しか載っていません。しかし会社から出ていくお金と入ってくるお金を両方数えると、予算の景色が変わります。

購入額から売却額を引いた数字で稟議を通す

予算の実態は「購入額から旧機の売却額を引いた金額」です。Windows 11に対応した世代の機体であれば、まとまった台数で売却額が立ちます。非対応の世代でも、部品や海外向けの需要があるため、ゼロにはなりません。

売却額は待つほど下がります。ESUの2年目に入ってから売る場合、1年分の値下がりと122ドルの延長費用が同時に発生することになるわけです。予算表には「売却額」の列と、その見込み額が有効な期限を書いておくと、決裁者が判断しやすくなります。

40万円未満の少額特例が使える台数を数える

中小企業庁の案内によると、2026年4月1日以後に取得した資産から、少額の減価償却資産の特例の上限が30万円未満から40万円未満へ引き上げられました。年間300万円の枠内であれば、取得した年に全額を損金にできる制度です。青色申告をしている中小企業者等が対象になります。

1台あたりの取得価額が40万円を下回る業務機は、ほとんどでしょう。台数を300万円の枠で割ると、今期に即時償却できる台数が見えてきます。枠を超える分は翌期に回す、という分け方も予算計画の一部になります。適用の可否は税理士に確認してみてください。

待つコストは見積書に載らない

延長費用と値下がりのほかに、見積書に載らないコストが2つあります。ひとつは故障対応です。保証が切れた機体の修理は部品の入手から始まり、担当者の時間を消費します。もうひとつは業務の停止です。期限ぎりぎりに全台を替えると、移行作業が一時期に集中し、現場の稼働が落ちます。

この2つを数字にするのは難しいものです。ただ、数字にできないことと、存在しないことは別の話でしょう。予算の備考欄に「待った場合に発生する作業」として書き残しておくだけでも、判断の材料になります。

リプレイスの手順:台帳で分けてから動く

段取りを決めるのは、機種の選定より前です。台帳の整理が終わっていれば、あとは順番どおりに進むだけといえます。

手順1:全台を3群に分ける

台帳に3つの列を足します。Windows 11の要件を満たすか、ESUの期限はいつか、所有かリースかの3つです。この3列で、機体は「OSを上げる群」「今期に替える群」「リース満了で返す群」に分かれます。

リース物件は、返却時の条件がリース契約で決まっています。リース事業協会の指針では、返却前のデータ消去は利用者の責任と負担で行うものとされました。所有機と同じ工程に乗せると契約に反する場合があるため、群を分けておく必要があります。

手順2:入れ替えの順番を決め、旧機を保管しない

替える群を、部門ごとか期限ごとに小分けにします。全台を一斉に入れ替えるより、月ごとに30台ずつのほうが移行作業の負荷は平らになるものです。あわせて決めておきたいのが、旧機を社内に置かないことです。

倉庫に積まれた旧機は、値下がりを続けながら情報漏えいのリスクだけを抱えます。入れ替えた週のうちに引き渡す段取りにしておけば、この期間そのものがなくなります。アスクライトは関東1都6県であれば保管場所まで伺い、1台からでも引き取りが可能です。引き渡しまでの実務は買い替えでやることの手順書にまとめています。

手順3:データ消去と証明書を、出口の条件に入れる

旧機を手放す条件として、データ消去の水準と証明書の記載項目を先に決めておきます。台数と日付だけの証明書では、監査で個体を追えません。シリアル番号ごとに消去の記録が残る形式を、発注の段階で指定してください。

売却する機体は消去してから再流通させ、故障して消去コマンドが通らない機体は物理破壊に回すことになります。この振り分けも、業者と最初に決めておく項目です。アスクライトのデータ消去サービスでは、専門技術者が媒体の種類に応じた手法で作業し、データ消去証明書を発行しています。

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まとめ:期限を「全台の期限」にしない

冒頭の台帳に戻ります。ESUの期限は全台に等しく来るように見えて、実際に期限を抱えているのはWindows 11に上げられない群だけでした。その群の台数、売却した場合の見込み額、少額特例で今期に落とせる台数。この3つが揃えば、リプレイスの時期と予算は自然に決まります。

残るのは手順です。分けて、順番を決めて、旧機を置かないことです。それだけの話なのですが、期限が迫ってから始めると、分ける時間が取れません。来月の期限は、全台を替える合図ではなく、台帳を開く合図として使うのがよいのではないでしょうか。

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よくある質問

Q1. リプレイスの時期は4年と決めておけばよいですか?

4年は税務上の耐用年数で、動作や安全性の期限とは別の数字です。OSの期限、Windows 11の要件、旧機の売却額の3つを重ねて、機体ごとに時期を決めるほうが無駄が出ません。

Q2. ESUの2年目を買って様子を見るのは損ですか?

一概には言えません。ただし2年目からの加入でも1年目の分が加算され、1台183ドルになります。Windows 11に上げられる機体には不要な費用なので、対象を非対応機に絞ることが前提です。

Q3. Windows 11に対応しているかどうかは、どう調べますか?

Microsoftが配布するPC正常性チェックアプリで判定できます。手動で確認する場合は、tpm.mscでTPMのバージョン、msinfo32でUEFIとセキュアブートの状態を見てください。

Q4. 予算はどのように見積もればよいですか?

新機の購入額から旧機の売却額を引いた金額が実質の予算です。売却額は時期で変わるため、見積りの有効期限もあわせて予算表に書いておくことをおすすめします。

Q5. 少額減価償却資産の特例は、どの会社でも使えますか?

青色申告をしている中小企業者等が対象で、改正後は従業員400人以下という要件があります。年間300万円の枠もあるため、適用できる台数は税理士に確認してください。

Q6. リース中の機体も一緒に買い取ってもらえますか?

所有者がリース会社のため、買取の対象にはなりません。返却の条件はリース契約に従います。返却前のデータ消去については、ご相談いただけます。

Q7. 入れ替えの順番に合わせて、分割で引き取ってもらえますか?

可能です。アスクライトは1台からのご依頼に対応し、関東1都6県は出張で保管場所まで伺います。月ごとの分割引き取りも通常のフローで承ります。

Q8. 旧機のデータ消去は自社で行ったほうがよいですか?

自社で消去してから引き渡しても、査定に影響はありません。ただしSSDは上書きが届かない領域があるため、証明書付きの委託を組み合わせるほうが監査対応は楽になります。

参考文献

1. タイトル:Windows 10の拡張セキュリティ Updates (ESU) プログラム
出典元:Microsoft Learn
URL:https://learn.microsoft.com/ja-jp/windows/whats-new/extended-security-updates

2. タイトル:製品ライフサイクルに関する FAQ - 拡張セキュリティ更新プログラム
出典元:Microsoft Learn
URL:https://learn.microsoft.com/ja-jp/lifecycle/faq/extended-security-updates

3. タイトル:Windows 11 の要件
出典元:Microsoft Learn
URL:https://learn.microsoft.com/ja-jp/windows/whats-new/windows-11-requirements

4. タイトル:主な減価償却資産の耐用年数表
出典元:国税庁
URL:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/pdf/2100_01.pdf

5. タイトル:2025年度は過去最大、2026年度は一転大幅減に
出典元:株式会社MM総研
URL:https://www.m2ri.jp/release/detail.html?id=717

6. タイトル:少額減価償却資産の特例
出典元:中小企業庁
URL:https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/tokurei/syougaku_shisan.html

7. タイトル:情報記憶媒体を有するリース終了物件の処理等について
出典元:公益社団法人リース事業協会
URL:https://www.leasing.or.jp/studies/docs/20200327.pdf