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SSDのデータ消去|HDDと同じ方法では消えない理由と法人の対処

2026/10/7

SSDのデータ消去|HDDと同じ方法では消えない理由と法人の対処

リース満了を控えたノートパソコンを前に、担当者が手を止めています。SSDは初期化しました。HDDの時代から、そうしてきたのです。ところが米国の研究者らは、消去を試したSSDを分解し、チップの中身を直接読みました。調べたのは12種類で、データが残る機種がありました。実験は2011年のものです。ただ、SSDの内部の仕組みは今も変わりません。法人のSSDのデータ消去は、どこまでやれば「消えた」と言えるのでしょうか。

SSDのデータが消えにくい理由|HDDの消し方が通用しない仕組み

HDDなら、その場所に上書きすれば消えました。SSDでは、この前提が崩れます。

SSDは同じ場所に上書きしない|ウェアレベリングと予備領域

SSDは、データを書き込む場所を内部で入れ替えています。特定のセルだけが傷まないよう、書き込みを分散させるためです。この仕組みを、ウェアレベリングといいます。

そのため、利用者が見ているアドレスと、データが実際に置かれた場所は一致しません。同じアドレスへ上書きしても、新しいデータは別の場所に書かれます。古いデータは、元の場所に残るかもしれません。

さらにSSDには、表示容量に含まれない予備の領域があります。2011年の研究が調べた機種では、実際のフラッシュメモリが表示容量より6〜25%多く載っていました。この領域は、利用者の操作で直接指定できません。

米国のNISTが2025年9月に改訂した指針(SP 800-88 Rev.2)も、同じ点を指摘しています。予備セルとウェアレベリングを持つ媒体では、通常の書き込みで旧データの置かれた全領域を指定できません。通常の上書きですべてを消すのは、現実的ではないとされています。

フォーマット・上書き・コマンド消去で、何が残り得るのか

研究者らは、消去を試したSSDを分解し、フラッシュチップから直接データを読み出しました。画面で「消えた」と確認したのではありません。チップの中身を見た実験です。

結果は、次の3点です。

  • ドライブ全体を2回上書きすれば、たいていは消える。ただし常にではなく、1台では20回上書きしても約1%(1GB)が残った
  • 内蔵の消去コマンドは有効だが、誤った実装もあった。12台のうち3台が、対応を示しながら正しく実行できなかった
  • ファイル単位で消すHDD向けの手法は、SSDでは効かなかった

総務省の資料も、SSDの注意点を明記しています。OSからアクセスできない領域にデータが残るため、フラッシュメモリを取り出して直接読めば、元のデータを復元できる可能性があるとしています。OSや記憶装置の初期化(フォーマット等)は、適当でないとも示しました。

実験の対象は、2011年当時の機種です。現行機種の挙動は、機種ごとに確認が要ります。それでも、画面の上で消えたことと、チップの中で消えたことは別の話です。この点は今も変わりません。

法人が選ぶSSDの消去方法|NISTの3区分で整理する

では、SSDのデータ消去はどの方法を選べばよいのでしょうか。実は、一つに決まっているわけではありません。情報の機密度と、その後の使い道で変わります。

Clear・Purge・Destroyの違いと、SSDでの位置づけ

NISTの指針は、消去を3つの区分に分けています。2025年9月に公表されたRev.2が現行版で、2014年のRev.1を置き換えました。

区分

内容

媒体のその後

Clear

利用者が使える全領域に通常の手段で対処し、簡単な復元手段を防ぐ

再利用できる

Purge

最先端の実験室レベルの手法でも、復元を困難にする

再利用できる

Destroy

復元を困難にし、記憶装置として使えなくする

使えなくなる

通常の上書きは、Clearにあたります。SSDでは予備の領域まで届かないため、機密度の高い情報には足りないかもしれません。Purgeに進むには、媒体ごとの専用の手段が要ります。

暗号化消去・ソフト消去・物理破壊の向き不向き

NIST Rev.2は、Purgeに当たる手法として、上書き、ブロック消去、暗号化消去を挙げています。いずれも、専用の標準化されたコマンドを使うものです。媒体ごとの具体的な手法は、IEEE 2883を確認するよう求めています。

SSDで使える方法は、大きく4つです。

方法

媒体の再利用

注意点

消去ソフト・専用コマンド

できる(買取に回せる)

機種で対応が違い、故障すると使えない場合がある

暗号化消去

できる

暗号機能の信頼性と、前提条件に左右される

物理破壊

できない

チップを確実に壊す必要がある

磁気消去(消磁)

対象外

SSDには効かない

総務省の資料でも、消磁はHDDの除去の方法として挙がり、SSDの除去は専用コマンドや暗号化消去とされている点も同じです。SSDは磁気ではなく、フラッシュメモリのセルに電荷として記録します。磁気消去は効きません。

暗号化消去は、暗号鍵を消してデータを読めなくする方法です。短時間で終わりますが、暗号の仕組みの信頼性と前提条件に左右されます。NISTも、条件の確認を求めています。

どの方法でも、実験の教訓は同じです。消えたかを確認できなければ、頼れません。研究者らも「信頼できるSSDの消去には、検証可能な内蔵の消去機能が必要」と結論づけました。

SSDを物理破壊するときの注意|HDD向けの方法では足りない

壊してしまえば安心です。そう考えたくなります。ところが、SSDの壊し方には条件があるのです。

HDD向けの破壊方法が、SSDでは通用しない理由

HDDは、データを記録した円盤を壊せば読めなくなります。SSDで壊すべきなのは、データを記憶するメモリチップです。

総務省の資料は、HDD向けの一般的な破壊方法では、裁断の細かさなどの点でフラッシュメモリ媒体を完全には壊せないとしています。専用の破壊装置を使い、メモリチップを破壊するよう求めています。専用シュレッダーで粉砕する場合の目安は、2mm以下です。

この資料は自治体向けで、民間企業に直接の義務はありません。ただ、チップが壊れたかを確かめられない破壊は、安心の根拠になりません。

破壊と消去、どちらを選ぶか|判断の4つの軸

破壊か消去かは、4つの軸で決まります。

軸

見るポイント

情報の機密度

機密度が高いほど、方法の水準と記録の厳密さが求められる

その後の使い道

再利用や買取に回すなら消去、回さないなら破壊も選べる。リース物件は、リース会社の承諾なしに壊せない

委託先の対応

委託先がその方法に対応できるか。SSDは機種によって使える方法が変わる

結果の記録

方法、シリアル番号、結果を記録で示せるか

総務省の資料も、再利用しない場合は破壊、再利用する場合は除去という分け方を、判断の例に挙げています。

見落とされやすいのが、リース物件の所有者です。リース事業協会の報告書は、返還するリース物件の記憶媒体を、リース会社の承諾なく物理的に壊すと、所有権の侵害でリース契約違反になるとしています。リース満了のSSDは、壊す前に契約と承諾の確認が先です。

売却できる状態のSSDなら、消去して手放す道もあります。アスクライトは1台から査定を承っており、消去のうえで買取に回せるかを相談できます。損得の考え方は、パソコン買取と廃棄はどちらが得かにまとめました。

法人の責任と、委託時に確認する証明書

消したつもりで手放す。その怖さは、手放したあとに気づく点にあります。

法的な位置づけ|復元不可能な手段と、排出事業者の責任

個人情報保護委員会のガイドライン(通則編)は、個人データを含む機器や電子媒体を廃棄するときは、復元不可能な手段で行うよう求めています。ガイドラインは、削除や廃棄の記録の保存と、委託先の実施の証明書などによる確認も、重要と述べました。

廃棄物の処理を委託しても、処理の責任は排出した事業者に残ると、環境省のチェックリストは示しています。産業廃棄物のマニフェストは、処理の流れを確認する書類です。中のデータが消えたことを示す書類は、別に必要になります。

廃棄を請け負う事業者にも、個人データが含まれる機器なら、安全管理措置と再委託先の監督が求められます。委託先を選ぶ側は、その体制まで見ておく必要があるでしょう。

消去証明書に載せたい項目と、受け取ったあとの確認

NIST Rev.2は、消去の証明書に少なくとも次の項目を記録するとしています。

  • 製造元、型番、シリアル番号、組織が付けた管理番号
  • 媒体の種類と、媒体の出所
  • 消去の区分(Clear・Purge・Destroy)と、具体的な技術
  • 使ったツールと、そのバージョン
  • 検証の方法と、検証した人の情報

総務省の資料も、委託先の作業完了証明書に、作業前後の写真やシリアル番号、ログなどのレポートを求める形を示しています。

受け取った証明書は、台数とシリアル番号を自社の資産台帳と突き合わせてください。一枚でも合わなければ、その媒体は処理されたと言えません。証明書に何を載せるべきかは、データ消去証明書の必須項目でも整理しました。アスクライトのデータ消去サービスは、ご希望に応じてデータ消去証明書を発行します。

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まとめ:SSDのデータ消去は、初期化で終えず確認できる方法を選ぶ

初期化したSSDを前に担当者が手を止めたのは、勘が正しかったからです。SSDは書き込み先を入れ替えるため、画面の上で消えても、チップの中は別の話になります。

選ぶ順番は、機密度、その後の使い道、委託先の対応、記録の4つです。リース物件なら、破壊の前に承諾を取ります。売却できる状態なら、消去して手放す道があります。どの方法でも、消えたかを確認できる記録を、委託先から受け取ってください。HDDの処分は、ハードディスクの処分方法で整理しています。

ただ、自社のSSD搭載機に、型番とシリアル番号の記録は揃っているでしょうか。そこが揃っていなければ、どの方法を選んでも、あとから説明できません。

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よくある質問

Q1. SSDはフォーマットすればデータ消去できますか?

フォーマットは、領域を使える状態に戻す操作です。チップの中のデータが消えたことは保証されません。総務省の資料も、初期化は適当でないとしています。

Q2. SSDは何回も上書きすれば消えますか?

全体を2回上書きすれば、たいていは消えると報告されています。ただ、20回上書きしても約1%が残った機種がありました。回数よりも、消えたかの確認が大切です。

Q3. HDD用のシュレッダーや穴開けで、SSDは壊せますか?

裁断が粗いと、フラッシュメモリのチップが壊れずに残ります。総務省の資料は、専用の破壊装置でチップを破壊するよう求めています。

Q4. 暗号化消去とは何ですか?

暗号鍵を消して、データを読めなくする方法です。短時間で終わりますが、暗号の仕組みの信頼性や前提条件に左右されます。実施した記録の確認も必要です。

Q5. SSDに磁気消去は効きますか?

効きません。SSDは磁気ではなくフラッシュメモリで記録しているため、消磁装置では消えません。専用コマンドか暗号化消去、またはチップの破壊が選択肢です。

Q6. 消去したSSDを、売却に回せますか?

正常に動作し、消去が完了した機器であれば、査定の対象になります。アスクライトは1台から承り、関東1都6県は出張で伺います。

Q7. 委託先の証明書には、何が書かれていれば安心ですか?

型番とシリアル番号、消去の方法、使ったツール、検証の方法が目安です。受け取ったら、自社の資産台帳と台数・シリアル番号を突き合わせてください。

Q8. リース返却のSSDも、消去は必要ですか?

必要です。リース事業協会の報告書は、返還時のデータ消去を、ユーザーの責任と負担で行うと示しています。承諾なしに壊すのは契約違反になるため、消去が基本です。

参考文献

1. タイトル:Reliably Erasing Data From Flash-Based Solid State Drives
出典元:USENIX(FAST '11)
URL:https://www.usenix.org/legacy/event/fast11/tech/full_papers/Wei.pdf

2. タイトル:SP 800-88 Rev. 2, Guidelines for Media Sanitization
出典元:National Institute of Standards and Technology(NIST)
URL:https://csrc.nist.gov/pubs/sp/800/88/r2/final

3. タイトル:総務省セキュリティポリシーガイドライン改定「機器の廃棄・データ消去」における補足について
出典元:総務省
URL:https://www.soumu.go.jp/main_content/001066789.pdf

4. タイトル:情報記憶媒体を有するリース終了物件の処理等について <報告書>
出典元:公益社団法人リース事業協会
URL:https://www.leasing.or.jp/studies/docs/20200327.pdf

5. タイトル:個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)
出典元:個人情報保護委員会
URL:https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/guidelines_tsusoku/

6. タイトル:排出事業者責任に基づく措置に係るチェックリスト
出典元:環境省
URL:https://www.env.go.jp/content/000126051.pdf

7. タイトル:データの消去に関する注意喚起
出典元:個人情報保護委員会
URL:https://www.ppc.go.jp/news/careful_information/data_syokyo/


監修者

幸代表(鄭 航)

株式会社アスクライト 代表取締役。

PC・OA機器のリユース・買取業界で10年以上の実務経験を持ち、2022年に株式会社アスクライトを設立。関東を中心に法人・個人向けのパソコン買取事業を展開しています。専門技術者による確実なデータ消去と、市場動向分析による高価買取を強みとしています。

  • 所在地:〒352-0011 埼玉県新座市野火止2-12-8
  • 対応エリア:関東1都6県(出張買取)/全国(宅配集荷)

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