キッティングとは|法人PC入れ替えの作業内容と外注・内製の判断
2026/10/7
キッティングとは|法人PC入れ替えの作業内容と外注・内製の判断
新しいPCが20台、会議室に積まれています。箱を開ければ使えると思っていたのに、見積書には「キッティング費」の一行があるのです。何をする作業なのか、自分たちではできないのか。担当者は、まずそこで手が止まります。厚生労働省の職業情報サイトは、1台あたりおおむね1〜4時間程度と説明しています。20台なら、20〜80時間の計算です。この数字を、どう受け止めればよいのでしょうか。
キッティングとは|新しいPCを「すぐ使える状態」にする設定作業
見積書の一行は、たいてい説明なしで出てきます。
キッティングの意味と、セットアップ・クローニングとの違い
厚生労働省の職業情報サイトは、キッティングを、パソコンなどの情報機器をユーザーがすぐ業務に使えるようセットアップする作業と説明しています。メーカーから出荷された製品に、使う環境に合わせた設定やソフトの導入を行う作業です。
この説明は職業の紹介で、法令で定められた定義ではありません。職業名は「PCセットアップ作業員」ともいい、セットアップとキッティングは近い意味で使われています。台数分そろえて組織の標準に合わせる場面で、キッティングと呼ばれることが多いようです。
クローニングは、別の言葉です。機種ごとに1台のマスターPCを作り、その内容を他のPCへ反映する手法を指します。ただし、PCごとに必要な個別設定は、クローニングを使っても手作業で残ります。
入れ替え時にキッティングを省くと起きること
キッティングを省けば、PCは届いても業務に使えません。それだけでなく、台帳と設定の抜けが、あとから効いてきます。
IPAの中小企業向けガイドラインは、資産管理として、何の機器がどこで誰に使われているかを把握するよう求めています。購入から廃棄までの履歴や、パッチ適用の状況も対象です。把握できていれば、サポートが切れた機器も素早く洗い出せます。
総務省のテレワークセキュリティガイドラインは、端末台帳の整備と、初期パスワードの変更を求めています。テレワーク端末を対象にした指針ですが、社内で使うPCにも通じる内容です。キッティングの最後に台帳へ登録する工程があるのは、このためでしょう。
キッティングの作業内容と手順|1台分の流れ
20台分の作業は、1台分の積み重ねです。その1台分は、何をするのでしょうか。
基本の作業項目と、1台あたりの目安時間
厚生労働省の職業情報サイトが示す、キッティング作業1台分の流れです。
- 開梱と通電
- モニターやマウスなど周辺機器の接続
- OSの初期設定とアカウント設定
- ネットワークへの接続
- 業務アプリとセキュリティソフトの導入
- 各種設定の動作確認
- 管理シールの貼付
- 管理台帳への登録
1台あたりの時間は条件により異なり、おおむね1〜4時間程度とされています。インストールなど時間のかかる作業は、複数台で並行して進める場合もあります。大規模な入れ替えでは、チームを組み、何日間かにわたって作業を続けるものです。
冒頭の20台なら、1〜4時間で20〜80時間の計算です。並行作業や方式しだいで、実際の時間は大きく変わります。
台数別のやり方|手作業・クローニング・ゼロタッチ
数台なら、手作業でも十分に回るでしょう。台数が増えると、同じ設定を繰り返す手間が重くなります。そこで、方式を選ぶことになります。
方式 | 仕組み | 注意点 |
|---|---|---|
手作業 | 1台ずつ設定する | 台数に比例して手間が増える |
クローニング | マスターPCの内容を他のPCへ反映する | 個別設定は手作業が残る。Sysprepでの一般化が要る |
プロビジョニングパッケージ | 設定をまとめたパッケージを端末に適用する | 新しいイメージは不要 |
Windows Autopilot | 工場出荷のWindowsに、設定・ポリシー・アプリを適用する | ネットワーク接続と認証の操作が前提 |
Windows Autopilotは、工場出荷のWindowsをイメージし直さず、設定やアプリを適用する仕組みです。プロビジョニングパッケージも、新しいイメージを入れずに端末を構成できます。Microsoftは後者を、数十から数百台のPCを配置する中小企業に向くと説明しています。
一方、クローニングでは、同じハードウェア構成でも、Sysprepによる一般化が必要です。完成した環境をそのまま複製すればよいわけではありません。
台数の境目について、公的な基準は見当たりません。まず1台を自社で試し、かかった時間を測るのが確実でしょう。
内製か外注か|判断する4つの軸
内製か外注かは、費用だけでは決まりません。
内製が向くケースと、見落としやすい工数
判断の軸は、4つあります。台数と納期、設定の標準化(手順書やマスターPC)の有無、担当者の空き時間、設定の記録と台帳を整える力です。
見落としやすいのは、キッティング作業そのものの時間に台数をかけた分以外の工数です。アプリが入らないなどの例外対応があります。台帳への記録も、手間のかかる作業です。旧PCの手配まで含めると、さらに増えます。
サイバーセキュリティ経営ガイドライン(Ver 3.0)は、委託先を含むサプライチェーン全体の状況把握と対策を求めています。外注するなら、ここまでが自社の管理の範囲です。内製が安いとも、外注が安いとも、言い切れません。
外注するときの確認項目
キッティング作業を外注するときは、次の5点を見積書で確認してください。
- 作業範囲(OS、アプリ、ポリシー、ラベル、台帳のどこまでか)
- 設定内容の記録と、手順書の納品
- 初期パスワードや個人情報の扱い
- 完了確認(検収)の方法
- 旧PCの扱い
Windows Autopilotの事前プロビジョニングでは、配布前の作業を、IT部門のほかOEMや販売店も担えるとされています。購入先が配布前の設定まで引き受ける形も、ありえます。
冒頭の「キッティング費」の一行は、この5点の入口です。どこまで含まれるのかを、先に聞いておくことです。
旧PCの回収・データ消去・買取までを、一続きで段取りする
新しいPCが動き出すと、今度は旧PCが残ります。
入れ替えで出る旧PCの流れ|データ移行から回収まで
新PCへのデータ移行が済むと、旧PCは使わない機器になります。キッティングの定義には、旧PCの処分は含まれません。入れ替えに伴う、あとの工程です。
事業で使ったPCも、資源有効利用促進法に基づくメーカーの回収・リサイクルの対象です。事業系の回収手順は、メーカーへの問い合わせが案内されています。個人データを含む機器の廃棄では、復元不可能な手段が必要です。個人情報保護委員会のガイドラインがそう求めています。
移行が済んだだけでは、旧PCの中にデータは残ったままです。
データ消去・証明書・買取を同時に手配する利点
旧PCの回収、データ消去、証明書の受領、買取を一度に手配すると、窓口と記録を一本化できる点が利点です。アスクライトは、専門技術者によるデータ消去と、ご希望に応じたデータ消去証明書の発行に対応しています。1台から承り、関東1都6県は出張で保管場所まで伺います。詳しくはデータ消去サービスをご覧ください。
正常に動くPCは、買取で入れ替え費用の一部に充てられるかもしれません。金額は機種と状態で決まります。買取と廃棄の損得は、パソコン買取と廃棄はどちらが得かで整理しました。SSDを搭載したPCは、データ消去の方法に注意が要ります。
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まとめ:キッティングとは、台帳と記録まで含めた1台分の作業
見積書の一行の正体は、開梱から台帳への登録までの、1台分の作業でした。1〜4時間という目安は、方式と体制で大きく動きます。まず1台を試して時間を測り、台数と空き時間を並べて、内製か外注かを決めるのが先です。
外注なら、設定の記録と台帳の情報を、納品物に含めてもらいます。旧PCの処分まで見積りに入れておけば、あとから慌てずに済むでしょう。入れ替え全体の段取りは、法人パソコンのリプレイス計画とパソコン買い替えでやることにまとめています。
ただ、次の入れ替えのとき、台帳と設定の記録は、誰が持っているのでしょうか。
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よくある質問
Q1. キッティングとは何ですか?
PCなどの情報機器を、ユーザーがすぐ業務に使えるよう設定する作業です。OSやアカウントの設定、アプリの導入、動作確認、管理台帳への登録までを含みます。
Q2. セットアップとキッティングは、どう違いますか?
厚生労働省の職業名では「PCセットアップ作業員」とも呼ばれ、近い意味で使われています。台数分そろえて組織の標準に合わせる場面で、キッティングと呼ばれることが多いようです。
Q3. クローニングとキッティングは、どう違いますか?
クローニングは、キッティングの手法の一つです。マスターPCの内容を他のPCへ反映しますが、PCごとの個別設定は手作業で残ります。
Q4. PC1台のキッティングには、どれくらい時間がかかりますか?
条件により異なり、おおむね1〜4時間程度とされています。時間のかかる作業を複数台で並行する場合もあるため、台数分をそのまま足した時間にはなりません。
Q5. キッティングの費用は、いくらが目安ですか?
公的な目安は確認できていません。費用は作業範囲と台数で変わるため、見積りはOS・アプリの導入、記録、納品の範囲をそろえて比べてください。
Q6. Windows Autopilotを使えば、キッティングは不要になりますか?
不要にはなりません。Autopilotは、設定やアプリの適用を自動化する仕組みです。台帳の整備や動作確認の運用は、組織側で決める必要があります。
Q7. 旧PCのデータ消去は、キッティングの前と後のどちらですか?
新PCへのデータ移行が済んだあとです。移行前に消すと、元に戻せません。消去は、復元不可能な手段で行ってください。
Q8. 入れ替えで出た旧PCは、買い取ってもらえますか?
正常に動作する機器であれば、査定の対象です。アスクライトは1台から承り、関東1都6県は出張で伺います。データ消去証明書も、ご希望に応じて発行します。
参考文献
1. タイトル:キッティング作業員(PCセットアップ作業員) - 職業詳細 | 職業情報提供サイト(job tag)
出典元:厚生労働省
URL:https://shigoto.mhlw.go.jp/Occupation/Detail?occupationId=531
2. タイトル:中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン 第4.0版
出典元:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)
URL:https://www.ipa.go.jp/security/guide/sme/ug65p90000019cbk-att/sme_guideline_v4.0.pdf
3. タイトル:テレワークセキュリティガイドライン 第5版
出典元:総務省
URL:https://www.soumu.go.jp/main_content/000752925.pdf
4. タイトル:Windows Autopilot の概要 | Microsoft Learn
出典元:Microsoft
URL:https://learn.microsoft.com/ja-jp/autopilot/overview
5. タイトル:プロビジョニング パッケージの概要 | Microsoft Learn
出典元:Microsoft
URL:https://learn.microsoft.com/ja-jp/windows/configuration/provisioning-packages/provisioning-packages
6. タイトル:Sysprep プロセスの概要 | Microsoft Learn
出典元:Microsoft
URL:https://learn.microsoft.com/ja-jp/windows-hardware/manufacture/desktop/sysprep-process-overview?view=windows-11
7. タイトル:サイバーセキュリティ経営ガイドライン Ver 3.0
出典元:経済産業省・独立行政法人情報処理推進機構(IPA)
URL:https://www.meti.go.jp/policy/netsecurity/downloadfiles/guide_v3.0.pdf
8. タイトル:事前プロビジョニングされた展開用の Windows Autopilot の概要 Intune での Microsoft Entra 参加 | Microsoft Learn
出典元:Microsoft
URL:https://learn.microsoft.com/ja-jp/autopilot/tutorial/pre-provisioning/azure-ad-join-workflow
9. タイトル:パソコンのリサイクル(METI/経済産業省)
出典元:経済産業省
URL:https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/kaden/index02.html
10. タイトル:個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)
出典元:個人情報保護委員会
URL:https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/guidelines_tsusoku/
監修者
幸代表(鄭 航)
株式会社アスクライト 代表取締役。
PC・OA機器のリユース・買取業界で10年以上の実務経験を持ち、2022年に株式会社アスクライトを設立。関東を中心に法人・個人向けのパソコン買取事業を展開しています。専門技術者による確実なデータ消去と、市場動向分析による高価買取を強みとしています。
- 所在地:〒352-0011 埼玉県新座市野火止2-12-8
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